明治期の尾張七宝と京都七宝につきましては
当時からも世界の七宝作品の歴史の中でも
最高の到達点に達したと評価されておりましたが
特に『並河靖之』の作品は日本国外でこそ高名で在り
何と国内外の博覧会の受賞歴は３１回にも及び
明治期当時では１０㎝程の小さな作品が
ロンドンで働く事務員の年収に匹敵する価格で
欧米の美術館や富豪に買い取られたと記録に遺っております。

そんな並河靖之は日本で初の『黒色透明釉薬』を発明しましたが
その技法は現代でも未だ解明されてはいない秘技と成っており
その驚異的なる魅力から今現在でも世界中に蒐集家もち
世界一の七宝作家として七宝界の頂点に君臨しております。

並河の作風は大きく分類致しますと
初期→中期→後期→晩年が在り
その作風を大きく進化させ続けて来ましたが
今回、御紹介させて頂きます今作とは
底に在銘こそは御座いませんが
七宝の専門家で在れば１００％真作と判る特徴を持った
並河靖之の判り易い初期作品と成っております。

御存知の方々も多い事かとは想われますが
並河靖之の初期作品には無銘の作品も多く存在しており
今作に関しましても海外の洋書図録には
色違いの全くの同作が紹介されております。

　
今作にあしらわれた三面の窓絵も並河靖之の判り易い特徴で在り
先ず何よりも此れ程までの『色彩』や『植線』の表現は
当時からも並河靖之にしか実現が叶ってはおりません！

　
数年前には成りますがわたしはヤフオクで二度
並河靖之の在銘作を出品させて頂きましたが
その経験から言わせて頂きますと
真似が出来ない事が『真作の証』
で在ると確信しております。

　
御自身の持たれている最高の七宝と視比べて頂ければ
並河靖之の色彩の多さに驚かれる事かと想われます。

　
今作の出品に伴い七宝の専門家と
何故に初期作品には無銘作が多いのか？
と考察を行ったのですが
此れ程までの技量の高さこそが『真作の証』で在ったが故に
当時はそこまで在銘にこだわってはいなかった
のではなかろうかという結論に達しました。

心配な方は銀座の並河専門店にて鑑定して頂いても構いません。

在り獲る事では御座いませんが
贋作の場合は全額返金させて頂きます。

　
口辺や底辺の変色や窪みと共直しが
御座います事を御理解願います。

無疵完品ならば世界共通で３００万円は下らない
本物の別格品と成っておりますので
御許し頂けましたらば幸いに存じます。

　
宮川香山にも多くの無銘作が在るように
並河靖之で在っても無銘作は多く存在しております。

だからこそ技法の特徴や様式で判断する事が
古美術品の真髄で在るとわたしは考えております。