1905-1974 石川県生まれ、日本芸術院会員、二紀会理事長の洋画家、太平洋戦争中には陸軍報道班員として従軍し、戦争画に卓抜した描写力を示し、1942年 第2回帝国芸術院賞を受賞、戦後は同志と二紀会を結成、その中心的存在となって会の運営にあたった、晩年には的確な写実のうえに華麗な色彩をもった舞妓、裸婦の連作を制作して注目された、すぐれた素描力をかわれて新聞小説の挿画でも早くから活躍し、獅子文六作『南の風』(朝日新聞連載)、石川達三作『風そよぐ葦』(毎日新聞連載)などの挿画を担当、広く読者に親しまれた

宮本三郎は、昭和時代に活躍した日本の洋画家で、1942年に第2回帝国芸術院賞を受賞しました。彼は石川県出身で、太平洋戦争中には陸軍報道班員として従軍し、戦争画で知られるようになりました。戦後は二紀会の結成に参画し、理事長を務めるなどして組織の中心的存在となりました。彼の晩年の作品は、写実性に基づく華麗な色彩の舞妓や裸婦の連作で注目を集めました。また、新聞小説の挿画家としても高く評価され、獅子文六の『南の風』や石川達三の『風そよぐ葦』など、多くの作品の挿画を担当し、広く読者に親しまれました。

本作は、「女優」油彩 8号 日動画廊取扱作品 東京美術倶楽部鑑定書付 の女性像。
彼の表現の幅広さを物語るように、画面は情熱的な赤とオレンジの色彩で満たされており、その中で女優の静かな横顔が描かれています。
彼女の目は遠くを見つめるかのように、深い内省と静謐さを湛えており、鑑賞者は彼女の思索の世界に引き込まれます。
背景の粗いテクスチャは、宮本三郎の卓越した素描力と戦時中の報道班員としての経験に裏打ちされた描写力を物語っています。
黄色がかった衣服は、舞妓や裸婦を描いた彼の晩年の作品に見られる華麗な色彩感覚を思わせます。新聞小説の挿画としても活躍した彼の繊細かつ力強い筆致は、この女優のポートレートにも見事に表れており、当時の日本画壇における彼の重要な位置を今に伝えています。
貴重な東京美術倶楽部鑑定書付、画伯の女性像の名品です。